高齢期運動とは

高齢期運動のめざすもの

日本の高齢期運動は、一貫して「まちから村からの連帯で一人ぼっちの高齢者をなくそう」を合言葉にしてきました。私たちが本格的に高齢期運動を始めたのは、30年前の1987年の第一回日本高齢者大会の頃です。

1970年代初めには多くの自治体が高齢者の生活の向上、長寿を目指して老人医療費を無料にし、国も老人医療費を無料(1973年)にしました。しかし、1980年代になり、第二次臨時行政調査会(第二臨調)が健康保険の赤字解消などを理由に社会保障費の削減をかかげ、同時に「高齢者の増加は、社会保障収支の悪化を招く」「医療費の増大は国を滅ぼす」などの論議が繰り広げられ老人医療費が有料化(1983年)になりました。

この1980年代の中盤は、家族制度の崩壊や都市部での人間関係の希薄化が社会問題になり始め、社会構造が大きく変わり始めた時期でもありました。それまでにも高齢者の就業問題や医療や福祉の問題は取り上げられていましたが、高齢者自身の運動として、高齢者同士が手を結び、自分たちの人生を豊かにしようと立ち上がり始めたのはこの頃からです。

以降一貫して、「ひとりぼっちになることが高齢者の最大の危機」「社会的なつながりを強めて高齢者の生きがいをつくろう」が高齢期運動の基調となっています。さらには、高齢期特有の問題として「寝たきりにならない・認知症にならない」などの健康問題へのとりくみ、学習やサークル、スポーツなどの人生を豊かにし、楽しい老後を過ごす運動にも積極的にとりくんできました。

また、それぞれの時期の課題を取り入れ、2000年前後には、老人福祉制度の後退に反対したり、2000年以降は介護保険を充実させることにとりくんだりしてきました。また、長年にわたり年金の削減や消費税の増税など高齢者の暮らしに直接影響のある課題で反対の運動や改善を求める運動にとりくんでいます。昨今は、戦争体験者、戦後の混乱期を生き抜いてきたものとして、安保法制への反対や、原発再稼働反対など国民的な課題にも積極的にとりくんでいます。

このように高齢期運動は、高齢者幸せに暮らすために必要な課題に自ら主体的にとりくみ、高齢者自身も成長しながら地域と社会を変えることをめざしています。またその運動を楽しみながらおこなえるよう配慮し合っています。